ページの本文へ

Hitachi
お問い合わせお問い合わせ

販売管理の業務フローと必要な書類やシステム導入のメリットと注意点

販売管理業務の流れと、各業務で必要な書類について解説しながら、販売管理システムを導入することで得られるメリットやシステム導入の注意点を解説します。

販売管理業務の流れと、各業務で必要な書類について解説しながら、販売管理システムを導入することで得られるメリットやシステム導入の注意点を解説しています。

販売管理とは

販売管理とは、企業活動の利益を計算するために、必要な情報を管理する活動をさします。

具体的には、「お金の流れ」と「物の流れ」を管理する業務に分けられ、お金の流れの管理には、売上管理・請求管理・入金管理・支払管理などが含まれます。

もう一方の、物の流れの管理には、見積管理・受注管理・出荷管理などが含まれます。

販売管理を行うことで、自社(もしくは自部署)の利益に貢献していない無駄なコストを可視化することができ、業務の最適化、在庫数の最適化など、利益を向上させるための道しるべとすることができます。

販売管理の業務フロー

販売管理の業務は、以下5つのフローで構成されています。

  • 見積管理
  • 受注管理
  • 出荷管理
  • 売上管理
  • 売掛・請求・入金管理

実務では、「お金を管理する業務」と「物の流れを管理する業務」が明確に分かれていない、もしくは両方の側面を持つ管理業務があるため、目的がはっきりせず混乱しがちです。

しかし、「注文を受ける→商品を渡す→代金を受け取る」という個人レベルの消費活動と企業活動は本質的には変わらないため、「販売管理=企業の家計簿」と定義すれば、理解しやすくなるのではないでしょうか。

見積管理

見積管理とは、名前の通り見積もりに関する業務のことで、以下の業務が含まれます。

  • 見積書の作成
  • 社内の承認取得
  • 見積書の発行・保管
  • 社内への情報共有

それぞれの項目について、ポイントや注意点を以下で解説します。

  • 見積書の作成

    見積書の作成で、最も重要なポイントは情報の正確性です。
    金額はもちろん、納品数、納品日など、わずかなミスが大きなトラブルに発展する可能性があります。

  • 社内の承認取得

    社内の承認取得業務で、最も大切なポイントはスピードです。
    “鉄は熱いうちに打て”といわれますが、客先の気が変わらないうちに見積書を発行するためには、承認フローの時間を短くする必要があります。

  • 見積書の発行・保管

    発行した請求書を保管しておくことで、前回作成した見積書を参考にでき、作成の時間を短くすることができます。
    そのためにも、後から探しやすいように、顧客別・年度別など、仕分けをして保管することが重要です。
    手作業のファイリングに限界がある場合はシステムの導入を検討してもいいでしょう。

  • 社内への情報共有

    見積書を客先に提出した結果を社内に報告すると共に、業務の申し送り、ノウハウの共有など、情報を社内に浸透させる業務が含まれます。

受注管理

受注管理は、注文から出荷までを管理する業務をさし、主に以下の業務が含まれます。

  • 注文内容の確認
  • 在庫確認、納期の連絡
  • 受注伝票、注文伝票の作成
  • 注文内容の確認

    契約が締結され注文が確定したら、確定した注文内容を確認・登録します。
    登録情報が在庫管理部門や生産部門に共有されて、出荷準備が始まるため、スピーディーな納品のためには素早い情報の確認・登録が求められます。

  • 在庫確認、納期の連絡

    注文分の在庫があった場合は出荷作業に入り、在庫がなかった場合には、生産部門と連携して生産に動きます。
    素早く、正確な納期を把握し、顧客に伝えることで信頼アップにつながります。

  • 受注伝票、注文伝票の作成

    納期の確定後、「商品名や納品先などの情報を記載した、社内に保管する受注伝票」と「注文内容を受領したことを、客先に報告する注文伝票」を作成します。
    どちらも、万一のトラブルやミスを回避するために必要な書類です。

出荷管理

商品の出荷工程を管理するのが、出荷管理です。
出荷作業のミスをなくし、素早い納品を実現させるために必要な業務で、以下の業務を行います。

  • 出荷指示書の作成
  • 必要書類の作成
  • 出荷・納品
  • 売上伝票の作成、取引の記帳、商品有高帳の記入
  • 出荷指示書の作成

    納期時期が近いものから、出荷担当者に渡すための出荷指示書(出荷伝票)を作成します。
    出荷担当者は出荷指示書を元に出荷作業を行いますので、記入漏れや記載ミスがないように注意する必要があります。

  • 必要書類の作成

    作成する書類は、納品書・納品書の控え・受領書の3つです。
    納品のタイミングで客先に届ける場合は、出荷に間に合うように作成しましょう。

  • 出荷・納品

    出荷・納品業務には、検品梱包・ピッキング・積み込み業務が含まれます。
    商品によっては、「保管している倉庫が異なる」「管理している部署が違う」といった状況があるかもしれません。
    そういった場合にもスムーズな納品を実現するためには、関連する部署間のコミュニケーションが重要なポイントになります。

  • 売上伝票の作成・取引の記帳・商品有高帳の記入

    在庫担当者は、客先からの受領書に準じて売上伝票を作成し、経理担当者は売上伝票と受領書から売り上げの記録を記帳します。
    また、商品有高帳にも売り上げの情報を記録します。

売上管理

売上管理とは、売り上げを管理・記録する業務です。
記録したデータから「売り上げが落ちている原因」や「売り上げを上げるための対策」を検討するため、日々の売り上げだけでなく、販売地域や時期(時間)、販売担当者などさまざまなデータを記録します。
売上管理は、以下の3ステップで実行されます。

  1. データを入力する
  2. データを集計する
  3. データを分析する
  • データを入力する

    目的に合わせて必要なデータは異なりますが、主に「売り上げ」「販売件数」「売り上げ目標の達成率」「原価」「予算の消化状況」といったデータを記録する場合が多いでしょう。

  • データを集計する

    「支店別」「商品別」など、目的に合わせてデータを集計します。
    手作業の集計ミス、業務効率化の必要性を感じた場合は、販売管理システムの導入を検討しましょう。
    データ集計をシステム上で、一括で行なってくれるものが一般的です。

  • データを分析する

    データの分析とは、売り上げの推移を確認するものではなく、問題点の原因を見つけ出すために行います。
    また、戦略立案のために根拠のある結論を導き出す必要があります。

売掛・請求・入金管理

販売管理における「売掛・請求・入金」とは、代金の請求から入金までの業務をさします。

  • 入金データの確認

    「振込名義人」「振込金額」「入金日」に間違いがないかしっかり確認しましょう。
    特に振込金額に不足があった場合は、不足分の請求を行う必要があります。

  • 入金消込

    入金消込は、入金の確認できた売掛金を、消す作業のことで、人的ミスが許されない業務です。

販売管理を行う上で必要な書類

販売管理は、業務が多岐にわたるため、必要な書類も多くあります。
以下の書類について順に解説します。

  • 見積書
  • 注文書
  • 納品書/受領書
  • その他の書類

見積書

販売管理は、見積書の作成から始まります。
見積書に決まったフォーマットはありませんが、一般的には下記の項目を記載します。

  • 見積書のあて先
  • 発行者
  • 発行日
  • 商品名
  • 個数
  • 金額
  • 見積の有効期限
  • 振込先
  • 特記事項

注文書

注文書は、売り手から見積書が提示された後に、買い手から発行する書類です。
商品を注文する意思表示として作成され、確定した注文内容を提示する意味も含まれます。
国税庁では注文書に記載する内容として、下記の5項目を定めています。

  • 書類作成者の氏名又は名称
  • 相手方の氏名又は名称
  • 取引年月日
  • 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
  • 税率ごとに区分して合計した税込対価の額

納品書/受領書

「注文通りに納品されたことを確認する納品書」「注文通りの商品を受け取ったことを確認する受領書」はどちらも金銭に関係する書類ですので、記入漏れ、記載ミスのないように細心の注意を払う必要があります。

その他の書類

販売管理では上記であげた書類以外にも多くの書類が必要です。
主なものだけでも、下記の書類が必要になります。

  • 受注伝票
  • 出荷指示書
  • 売上伝票
  • 請求書
  • 領収書
  • 契約書

このような多くの書類の管理は煩雑になり、紛失の可能性もあります。
そういった問題の解決策として、販売管理システムという選択肢があります。

販売管理システムとは

販売管理システムは、販売管理に関するデータを一元管理し、業務を効率化するためのシステムのことで、販売管理に必要な経営データの見える化を支援します。

販売管理・生産管理システム Hi-PerBT KIT3の販売管理システムとは?メリット・機能一覧・導入方法を解説(その2)で解説しているように、販売管理システムの導入にはいくつかの方法があります。パッケージ型、クラウド型による販売管理などです。

パッケージ型の販売管理システムはある程度基本型が決まっており、利用側が導入をイメージしやすくなっています。一方で既成ゆえに制約もあり、カスタマイズが難しいことがデメリットです。パッケージ型に自社に合ったカスタマイズを加えられるセミオーダー式は、より手軽に、そして迅速に理想に近いシステムの構築が可能です。

いわば両者の良いところ取りをして、より効率的に自社にフィットしたシステムを構築することを可能にするのがセミオーダー型であり、そこが最大のメリットと言えます。弊社の販売管理・生産管理システム Hi-PerBT KIT3 はセミオーダー型を採用しています。

販売管理システムを導入するメリット

販売管理システムの導入には、以下4つのメリットがあります。

  • 業務の効率化・コスト削減ができる
  • データの正確性・社内共有のスムーズ化ができる
  • 業務の属人化を防ぎ標準化ができる
  • 情報の可視化で的確な経営判断をアシスト

販売管理システムの導入、運用にはコストがかかりますが、システムの導入で削減できるコスト、業務効率化による作業者のストレス低減といったメリットを考慮すれば導入するメリットがあるといえるでしょう。

業務の効率化・コスト削減ができる

販売管理システムでは、入力されたデータを複数人で共有できるため、部署をまたいだ情報共有を簡単に行うことができます。
システム導入前と比較して、申し送り業務が軽減されるため、残業代などのコストを削減ができます。

データの正確性・社内共有のスムーズ化ができる

データ共有ができるメリットは、申し送り業務の削減だけではありません。
必要データを入力するだけで、各種書類に自動反映されるため、入力ミスなどの人的ミスを減らし、確認業務も簡略化することもできます。

業務の属人化を防ぎ標準化ができる

販売管理の業務は多岐にわたり、専門知識も必要なため、業務が属人化しやすいといえます。
しかし、販売管理システムで業務をマニュアル化すれば、だれでも同じ作業ができるため、属人化を防ぐことができます。

情報の可視化で的確な経営判断をアシスト

販売管理システムでは、各部門でバラバラに管理していたデータをまとめて確認できるので、下記のような経営に必要な情報を可視化することができます。

  • 過剰在庫の可視化
  • 進捗状況の可視化
  • 売れ筋商品、死に筋商品の可視化

販売管理システム導入する際の注意点

販売管理システムは、営業部門や経理部門など複数の部門が活用し、会社を横断して情報を管理できることが最大のメリットといえますが、この“複数の部門が関わる”ことが、導入のハードルを高くしています。

導入することが目的になってしまうと、実務でのスムーズな運用や部門間の連携といったポイントを見落としてしまいます。

また現行のシステムと導入したシステムが連携できず、システムをそのまま使用できない可能性があります。
そのため各部門の要望を取りまとめるなどの根回しが必要になるといえます。

まとめ

販売管理システムは複数の部門にまたがる大規模システムのため、導入には高いハードルがあります。

しかし、販売管理システムをスムーズに運用できれば、コスト削減や業務負担の軽減ができ、今まで見えなかった経営の全体像を見える化できるなど、得られるメリットは計り知れません。

本記事で紹介した、販売管理システムのメリットや注意点を参考に、販売管理システムの導入を検討していただければと思います。

導入事例一覧