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原価管理システムとは?
仕組みや導入のメリット、選ぶポイント
を解説

原価管理は経営判断をするうえで非常に重要ですが、原価管理に時間がかかっていたり精度が低かったりすることに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そのような悩みを解決できるのが「原価管理システム」です。

原価管理は経営判断をするうえで非常に重要ですが、原価管理に時間がかかっていたり精度が低かったりすることに悩んでいる方も多いのではないでしょうか。そのような悩みを解決できるのが「原価管理システム」です。本記事では、原価管理システムの概要や導入するメリット・デメリットなどを詳しく解説します。記事の後半では、原価管理システムを選ぶ際のポイントについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

原価管理とは?

原価管理とは、製品の原価を把握してPDCAを回し、利益率の改善や経営判断を行うことです。もともとは製造業で用いられていた言葉でしたが、現在ではITやソフトウェア、広告などのさまざまな業種でも使われています。

原価管理を行う最大の目的は、利益確保とリスク管理のためです。また、原価管理によって商品やサービスを提供する際にかかる費用の把握や、原価の変動予測を行うことができます。

原価管理の仕組み

原価管理の仕組みは、以下の4つの項目を順に行うことで成り立ちます。

原価管理の仕組み

  • 標準原価の設定

    標準原価とは、製品の開発・製造、サービス作りにかかる原価の目安のことです。この標準原価をもとに利益を予測するため、できる限り差が出ないように設定する必要があります。そのため、必ず製品やサービスを作る前に市場調査を行って相場を把握し、かかる原価を予測することが大切です。

  • 原価計算

    原価計算は、正確な利益を知るための手段です。材料費や労務費、経費など、原価に含まれるものをすべてカウントします。

  • 差異分析

    差異分析とは、標準原価と実際原価の差異を分析することです。事業における課題点の洗い出しや改善方法がわかり、利益が出るプロジェクトかどうかの判断につながります。

  • 改善

    差異分析によって課題が明確になったあとは、具体的な改善をはかります。たとえば、仕入れ価格に問題がある場合は、仕入れ数や単価、価格設定の見直しなどを行うことで、原価低減が実現するでしょう。

原価管理の方法

原価管理を行う主な方法は、以下の2つです。

  • Excelなどで台帳を作成する
  • 管理ソフト・システムを利用する

原価管理はExcelの計算機能を用いるのが一般的ですが、同時編集機能がなく、更新の手間がかかったり計算が複雑化したりするなどの課題があります。そのような課題を解決できるのが、「原価管理システム」です。作業を自動化できるため、効率よく原価管理を行えます。

原価管理システムとは

原価管理システムとは、原価計算や予算・実績の比較をはじめ、さまざまな原価の管理、損益の分析などの計算を効率的に実行できるシステムです。原価データを活用してシミュレーションまで行えるため、経営判断に大いに役立つでしょう。

さらに、原価管理のデータに加えて、仕入れ管理や生産管理、会計などの他のシステムとの連携も可能で、ERP(統合型基幹業務システム)の機能の一部としても利用可能です。

原価管理システム導入のメリット

原価管理システムは、原価計算やデータの一元管理以外にも、さまざまなことが可能です。以下では、原価管理システム導入の主なメリットを3つ、紹介します。

  • 人件費の削減につながる

    原価管理システムは売上や原価を自動集計できるため、必要最低限の情報を入力するだけで原価データの登録が可能です。原価管理にかかる時間や手間を大幅に減らせることから、人件費の削減につながります。

  • 他システムとの連携が可能に

    先述の通り、原価管理システムは他のシステムと連携可能です。たとえば、ERPがすでにある場合、原価管理システムと連携することで、原価情報を自社保有のシステム全体に反映することができます。システムごとに手入力する手間が省けるため、業務効率化の実現が可能です。

  • 経営判断に活かせる

    原価管理システムを導入すると、原価に影響を与える為替や素材費などの情報をリアルタイムで収集できるため、経営判断に活かせます。

    また、原価管理によって算出された数字を分析し、製品・商品ごとの損益がゼロとなるときの売上高(損益分岐点)を出すことも可能です。これにより、市場に出す製品や商品の数を調整でき、赤字が膨らむのを防ぐことができます。

原価管理システム導入のデメリット

原価管理システムには多くのメリットがある一方、デメリットもあります。原価管理システムを導入する主なデメリットは、自社の業務に合ったシステムを選ばないと、かえって計算方法が複雑化する恐れがあることです。

しかし、この欠点は業務に合ったシステムを選ぶことで解決できるため、システムの選定を慎重に行うことが大切です。

原価管理システムの機能

原価管理システムの主な機能は、以下の3つです。

  • 原価計算機能

    原価管理システムを活用すると、以下のような複数の原価計算に対応できます。

    【原価計算の種類】

    • 製品原価計算:売り上げた製品に対応した原価計算
    • 期間原価計算:会計期間に対応した原価計算
    • 全部原価計算:製造にかかわる原価(製造原価)全体の計算
    • 部分原価計算:製造にかかわる原価(製造原価)の一部についての計算
    • 直接原価計算:部分原価計算の一つで、変動費のみを計算して損益分岐点の算出に使う

    さまざまな角度から原価を算出できるため、コスト削減や売上アップに向けての対策が容易になります。

  • データ収集機能

    原価管理システムには、原価管理に必要なデータを収集する機能が備わっています。基幹システムやERPからデータをインポートし、原価管理に活用することも可能です。

  • 分析・シミュレーション機能

    分析・シミュレーション機能は、リスク管理や経営戦略に役立ちます。たとえば、標準原価と実際原価の差異を分析する「原価差異分析」や、原価の変動を把握・予測する「原価シミュレーション」機能などを通して、急激な景気変動による原価高騰への対策や経営シミュレーションなどが可能です。

原価管理システムを導入したほうがよい企業

以下のような課題がある企業は、原価管理システムの導入をおすすめします。

  • 原価計算が複雑化し、処理に時間がかかっている

    工程別原価や部門別原価などのさまざまな原価計算を行ううえで原価計算が複雑化し、処理に時間がかかっている場合は、システムの導入でさまざまな原価計算を自動で行えるため、手動管理の負担が軽減されます。

  • 原価計算の精度が低く、実値と差異が生じている

    原価計算の精度が低く、実値と差異が生じていると、達成可能な利益計画や経営判断などが困難になります。システムを導入すると、経営に必要な情報をリアルタイムで確認できるうえ、PDCAサイクルを効率よく回すことが可能です。

  • Excelでの原価計算に限界を感じている

    原価計算システムを導入することで、他のツールとの連携が困難であったり作業が属人化していたりするデメリットをカバーできます。

最近では、さまざまな原価計算のパッケージソフトも展開されているため、スピーディーな導入が可能です。

原価管理システムを選ぶ際のポイント

原価管理システムを選ぶ際のポイントは、以下の3つです。

  • 自社の業種や環境に適しているか

    原価の計算方法は業種・業界によって異なるうえ、原価管理システムの中には製造業や建設業などの特定の業種用に作られたものもあります。そのため、自社に合った原価管理システムを選ぶことが大切です。原価管理システムを導入する際は、事前に自社の抱えている課題や経営状態などを整理し、導入目的を明確にしましょう。

  • 他システムと連携できるか

    原価管理システムは、自社の基幹システムやすでに導入している販売管理・在庫管理システムなどと連携することで、導入効果を最大限に引き出すことができます。そのため、いざ原価管理システムを導入する際は、他システムとの連携性にも着目しましょう。

  • カスタマイズが可能か

    原価管理システムにはパッケージやクラウドなど、多様な提供形態がありますが、その中でもカスタマイズできるものがおすすめです。なぜなら、自社に合った原価管理システムを選んだ場合でも、実装するためのカスタマイズやアドオン開発が必要となる場合もあるためです。事前に必要な機能を洗い出すことで、導入すべき原価管理システムが絞られます。

まとめ

原価管理システムとは、原価計算や予算・実績の比較、さまざまな原価の管理、損益の分析などの計算を効率的に実行できるシステムです。原価管理システムは、原価管理の作業を自動化できることに加え、他システムとの連携も可能であるため、人件費削減や的確な経営判断などにつなげるこができます。