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購買管理システムとは?
導入メリットや機能、選び方を解説

購買管理システムを導入するメリットについて、具体的に解説します。
システムの種類や主要機能、自社に最適なシステムを選定するための方法もご紹介します。

製造業をはじめ、さまざまな業種にとって、調達コストの削減とコンプライアンス遵守は重要度の高いミッションといえます。その実現には、購買業務のプロセスを最適化できる「購買管理システム」の導入が有効です。本記事では、購買管理システムが備える機能の詳細や、導入により得られるメリットを解説。自社にマッチした購買管理システムを選定するためのポイントをご紹介します。

購買管理システムとは?

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進や各種法改正への対応、業務効率化や内部統制強化をはかりたい企業にとって、購買管理システムの導入は非常に効果的なアプローチとなります。

購買管理システムは、購買物品の見積・発注・検収といった購買(調達)業務のプロセスを管理するためのシステムであり、直接材(※1)や副資材、事務用品、設備、工事などの購買データを一元管理できるものや、承認ワークフロー機能を用いて内部統制の強化をはかれるものなど、さまざまな製品が提供されています。全社集中購買をはじめ、直接材のコスト管理や納期管理、検収管理の効率化など導入メリットは多岐にわたり、業務改革の一手として極めて有効な選択肢となります。

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製造に直接使用される資材:原材料や部品など

購買管理システム導入のメリット

購買管理システムの導入メリット。業務効率化、コスト削減、ミス/不正防止、ぺーバーレス化、一元管理、在庫の見える化。

これまで発注伝票や帳票の作成を手作業かつ個別管理で行ってきた企業は、購買管理システムの導入により非常に多くのメリットを享受することができます。ここからは主な導入メリットについて説明していきます。

  • 業務効率化

    購買業務では、多くの事務手続きが必要となります。購買業務をシステム化することで、各工程における入力・確認・承認などの大幅な時間短縮が期待できます。また、担当者の業務負荷軽減にもつながり、空いたリソースをより重要な業務に割けるようになるため、生産性の向上にも寄与します。

  • コスト削減

    購買業務をシステム化すると、いつ、どこから、どのような価格で購入したかを分析できるようになり、購買コストの適正化がはかれます。処理をデジタル化することで、事務処理の省力化による工数低減、コスト変動による影響度確認、仕入先コスト評価による継続的なコスト削減対策の容易化など、費用削減効果は多岐にわたります。

  • ミスや不正の防止(内部統制強化)

    注文からの支払いまでのフローをシステムで統一することで、誤発注や重複発注、検収漏れといったヒューマンエラーを軽減できます。さらに承認ワークフロー機能を搭載するシステムならば、不正が起きにくい体制を構築可能。架空請求や水増し請求など企業としての信頼を損なう不正行為を防止し、内部統制の強化をはかることができます。

  • 購買帳票のペーパーレス化

    ペーパーレス化は、あらゆる業種のあらゆる業務で取り組まれています。購買管理システムを導入すれば、購買に関わる帳票や証憑書類のデジタル化が可能。購買業務のペーパーレス化を強力に後押しします。また、書類の印刷・捺印といった従来の作業が不要となるペーパーレス化は、リモートワークなどの働き方改革の実現にも有効なほか、各種法令への対応としても不可欠で、購買管理システム導入の決め手となるケースも珍しくありません。

  • 購買実績の一元管理

    購買実績を一元的に管理できる点も、購買管理システムを導入するメリットです。過去の情報をもとに納品スピードやコストの比較、仕入数の調整などを行えるようになるため、購買計画が立てやすくなります。会計システムや仕入管理・販売管理・在庫管理システムといった既存システムとの連携に対応した購買管理システムならば、部門を横断してデータを一元化でき、より多くの効果が期待できます。

  • 在庫や資材の「見える化」

    購買管理システムを導入して購買業務をデジタル化すると、過去の取引などの履歴がデータとして保存されるようになり、在庫管理システムを合わせて導入すると、在庫や資材の“見える化”が可能です。適切な在庫管理が行えるようになるため、過剰発注や在庫切れなど、ビジネスを阻害する要因を払拭することにもつながります。

購買管理システムの主な機能

購買管理システムの主な機能。見積依頼、検収支払管理、発注管理、仕入先管理、価格管理、納期管理、ワークフロー、契約確認、法対応、カタログ連携。

購買管理システムの導入を検討する際には、必要な機能が備わっているかを確認することが大切です。ここからは購買管理システムに搭載されている主な機能について解説していきます。

  • 見積依頼機能

    一括で複数の業者(サプライヤー)に見積を依頼し、見積結果を比較検討できる機能。これまで手動で行ってきた比較表の作成なども自動化でき、発注処理まで一連で実行することが可能です。相見積や図面配信などの見積に関わる業務を大幅に効率化するほか、ペーパーレス化の実現にも寄与します。最良の業者決定をサポートし、購買品の単価低減、品質向上に大きな効果を発揮してくれるはずです。

  • 仕入先管理機能

    仕入先管理は非常に重要な業務ですが、過去の仕入実績や今後の購買情報など膨大なデータを扱うため、負荷の高さが課題となっています。この業務をシステム化するのが仕入先管理機能です。仕入先の情報や取引履歴などへのアクセスが容易になり、データをもとに購買予定を決められるようになります。仕入先との価格交渉において有利となる情報を活用できることは、ビジネスにおける利益の最大化とリスクの最少化にもつながります。

  • カタログ管理機能

    購入頻度の高い物品をシステムに登録し、自社オリジナルの購買カタログを作成できる機能です。部門・部署別のカタログを作成も可能で、購買業務のプロセスを大幅に効率化。必要な物品を毎回検索し、登録するといった作業が不要になります。操作ミスによる無駄な物品購入や不正購買の抑止にも役立ちます。

  • 外部カタログ連携機能

    サプライヤーが提供するECサイト(カタログサイト)と連携して、購買管理システムのプラットフォーム上で物品を購入できるようにするための機能です。ECサイトごとのログイン処理も不要となり、複数サイトの商品価格や在庫状況もリアルタイムで比較できるなど、多くのメリットを享受できます。手間をかけずに最適な条件で物品を購入できるという面で、重要な機能となります。

  • 契約管理機能

    資材の購入における企業間取引、その契約内容や書類を集約し一元管理するための機能です。内容や条件だけでなく、契約の更新日や終了時期なども簡単に確認できるほか、いつ、どのような取引が行われたのかといった過去の取引情報も容易に見つけ出せるようになります。さらに、契約の更新や終了を自動通知してくれる機能を備えた購買管理システムもあり、更新漏れなどのミスも抑制できます。

  • 発注管理機能

    仕入先に発注した資材の情報を一元管理し、発注依頼の作成から申請・承認、発注履歴の追跡などに対応。発注業務における人的ミスの軽減や作業時間の短縮に寄与するほか、届いた資材の検品も大幅に効率化することが可能です。システム上で正確な発注状況を管理できることのメリットは多岐にわたります。

  • 承認ワークフロー機能

    購買管理システムのプラットフォーム上で、申請と承認を行えるようにするのが承認ワークフロー機能です。購買業務の承認プロセスを自動化でき、紙や電子メールを用いた従来のプロセスと比べて申請者、承認者の負荷が大幅に軽減されます。クラウド経由で利用可能な購買管理システムならば、リモートワークでの申請・承認も可能。さらに承認プロセスが可視化されるため、不正行為の抑制、内部統制の強化にも有効です。

  • 価格管理機能

    多くの製造業者にとって、資材の仕入価格は非常に大きな支出となります。このため、ビジネスの競争力を担保するには、適正な価格を維持する必要があります。価格管理機能を利用すれば、過去の取引を履歴として蓄積でき、正確な原価管理を実現可能。履歴情報を参考に仕入を行うことで、適切な価格で購入できるようになります。

  • 納期管理機能

    資材を発注してから納品されるまでのステータスを可視化できる機能です。納期に遅れが出る場合も、システム上で情報を共有することで柔軟な対応が可能となります。計画済みの生産工程を延期したり、代替となる生産計画を企画したりと、迅速に計画を立て直すことができ、納期遅れによるリスクの軽減をはかれます。

  • 検収支払管理機能

    資材が納品された後の、検収から支払までの業務を管理するための機能となります。検収業務では受領した資材が契約条件に則しているかを確認し、検収が完了した後は取引先への支払い処理を行います。検収支払管理機能は、この流れをシステム上で可視化するため、進捗状況の把握が容易になります。完了されていない場合にアラートで通知する機能を備えた購買管理システムを選べば、検収漏れ、支払漏れのリスクを最少化できます。

  • 法対応機能

    購買管理システムのなかには、電子帳簿保存法やインボイス制度といった法改正に対応する機能(文書管理システムとの連携含む)を採用している製品もあります。すでに施行されている法令はもちろん、今後の法改正にも柔軟かつ迅速に対応できることが重要で、購買関連のさまざまな文書をデータ化して保管し、必要な条件で検索・確認が行える購買管理システムを選定することが重要です。

購買管理システムの分類

購買業務全般の機能を網羅したものから特定の資材や業務に特化したものまで、購買管理システムにはさまざまなタイプが存在します。導入にあたっては、どのタイプが自社の目的に合致しているかを判断する必要があります。

  • 直接材と間接材について

    直接材と間接材の違い。直接材は、製造に直接使用される資材、原材料・部品など。間接材は、製造に直接使用されない資材、工具・消耗品・備品など。

    商品の生産に必要な資材は「直接材」と「間接材(※2)」の2つに分類されます。前者は商品を構成する材料や部品、後者は工具や事務用品、消耗品などが該当し、間接材に特化した購買管理システムもあります。

    *2
    製造に直接使用されない資材:工具や消耗品、備品など
  • 一般的なタイプ

    直接材・間接材の両方に対応し、見積依頼管理、発注管理、納期管理といった購買業務を効率化するための基本機能を網羅したタイプが、スタンダードな購買管理システムとなります。オールラウンドで購買に関わる業務の課題解決をサポートしてくれるため、多くの企業にとって有力な選択肢となるでしょう。

  • 間接材に特化したタイプ

    間接材の購買に特化した購買管理システムでは、カタログ購買や外部カタログ連携などの機能が充実しており、価格比較や調達先の選定がしやすくなります。間接材は部署ごとに個別で購買しているケースも多く、間接材に特化した購買管理システムを導入することで、業務プロセスの一元化や調達コストの見直しを実現できます。

  • 業界特化型・その他のタイプ

    品質管理機能や納期管理機能、工事管理機能など製造業に必要な機能を網羅したシステムと特定の業種向けに開発されているタイプが存在します。また、購買管理機能を備えた基幹システム(ERP)や販売管理システムを活用するというのも手段のひとつ。複数システムの連携を考慮せずとも、企業の支出を統合的に管理できるようになります。ただし、必要な機能が備わっていない場合もあるので、目的に合致した機能が実装されているかを確認しましょう。

購買管理システムの選び方

購買管理システムの選び方。1.自社のニーズに合った機能があるか。2.自社の既存システムとの連携が可能か。3.業種や製品に適したシステムか。4.導入実績が豊富なシステムか。

購買業務を効率化し、ビジネスの競争力を高めたいのならば、自社に合った購買管理システムの導入が欠かせません。ここでは、購買管理システムを選ぶ際に注目すべきポイントについて解説していきます。

  • 自社のニーズに合った機能があるか

    まずは導入の目的、すなわち自社の購買業務において解決すべき課題を洗い出していく必要があります。工数がかかっている処理や、無駄な発注によるコストの増加、必要な資材や物品が届くまでの時間の長さなど、企業によって抱えている課題はさまざま。また、特殊な業務フローが常態化していて業務効率を阻害しているケースも少なくないでしょう。

    こうした課題を明確化し必要な機能を絞り込むことが、最適な購買管理システムの選定には重要です。たとえば、間接材の購買に関わる課題に悩まされているのならば、外部カタログ連携に強い購買管理システムの導入が選択肢のひとつになるでしょう。

  • 自社の既存システムとの連携が可能か

    全社的な業務改革をめざしているのならば、自社で導入している既存システムとの連携機能が備わっているかどうかも重要な選定ポイントとなります。購買管理システムで蓄積されるデータは、基幹システム(ERP)や受注管理システム、販売管理システム、会計システムなどとの連携によって、最大限に活用することができます。そのため、部門間・システム間で連携できるシステムを選ぶことが大切です。

    また、昨今のビジネストレンドといえるデータドリブン経営を実現するうえでも、シームレスにデータを連携できる仕組みを構築することは必要不可欠。自社システムと連携できない製品を選んでしまうと、システム導入の効果が半減してしまうケースも考えられるため、選定時のチェックポイントに含めておきましょう。

  • 業種や製品に適したシステムの選択

    業種や取り扱っている製品によっても、購買管理システムに求められる機能は変わってきます。このため、自社の業種や業態、製品やサービスにマッチしたシステムの選定が肝心です。直接材と間接材の両方を扱っているか、工事対応機能が必要か、購買プロセス全般をカバーしているかなどを確認したうえで、システムの選定を進めましょう。

    ここの確認を怠ってしまうと、必要な機能が搭載されていなかったり、不要な機能が多過ぎて使い勝手が悪くなったりと、不都合が生じる可能性が高まります。繰り返しになりますが、管理すべき購買品目と購買プロセス範囲は必ず明確化するようにしましょう。

  • 導入実績が豊富なシステムの選択

    購買管理システムを初めて導入する場合、自社にとって最適ではないシステムを導入してしまうリスクは少なくありません。そこで有効となるのが、他社での導入実績を参考にしながらシステムを選定するというアプローチです。特に同じ業種、業態の企業の導入事例があるシステムならば、期待を裏切られることは少ないはずです。また、導入実績が豊富なシステムはサポート体制が充実しているケースが多く、トラブル発生時の対応を迅速化したいという観点でも、実績の高いシステムを選ぶ価値はあります。

日立ソリューションズ西日本 製品担当者からのコメント

日立ソリューションズ西日本 製品担当者アイコン

購買管理システムに求める機能は、お客さまによりさまざまです。ERPシステムの機能を切り出しする場合は、他システム連携が充実している製品が適合します。また、実現したい業務範囲をカバーしているかの確認も重要です。一例で見積機能の必要性、インボイス帳票の発行の要否など、自社に必要な機能を整理して製品選定を行うことが成功の要因になるかと思います。

日立ソリューションズ西日本
「Hi-PerBT 購買管理」の機能紹介

「Hi-PerBT 購買管理」の利用イメージ。

「Hi-PerBT 購買管理」は、直接材、間接材の両方に適用できる購買の統合管理パッケージです。見積依頼から発注管理、納期管理、検収管理まで一連の購買管理業務をカバーしているほか、内部統制を強化できる承認ワークフローや、カタログサイトとの連携といった機能も提供可能。シンプルで直感的なユーザーインターフェースを採用し、既存システムとの連携など柔軟なカスタマイズにも対応しています。またオンプレミス環境へのシステム構築だけでなく、クラウド型のシステムとしても利用できるため、社内関連部署とのデータ連携もスムーズに行えます。もちろん電子帳簿保存法にも対応しており、オールラウンド型の購買管理システムに仕上がっています。

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自社の課題とニーズを理解し、
最適な購買管理システムの選定を

ここまで解説してきたとおり、DXに取り組み、全社的な業務改革をめざしている製造業者にとって、購買管理システムの導入は極めて効果的なアプローチといえます。自社の購買業務で顕在化している課題を洗い出し、さらに自社の関連システムとの連携も見据えたうえで、最適なシステムを選定することが業務改革の第一歩になるでしょう。