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電子帳票とは?対応の必要性と失敗しない電子帳票システムの選び方・ポイントまで解説
印刷や保管の手間をなくす電子帳票。業務効率化や法対応を実現する導入メリットと、失敗しないシステム選びのコツをご紹介します。
- 電子帳票とは
- なぜ電子帳票にする必要があるのか
- 紙の帳票を電子化する方法
- 帳票を電子化する基本的な流れ
- 電子帳票におけるデメリットや注意点
- 電子帳票システムを導入する際のポイント
- 『Hi-PerBT ワークフロー』でワークフロー申請帳票を電子化
- まとめ
紙の帳票管理は、印刷や保管・検索の手間がかかり、非効率だと感じている企業も少なくありません。こうした課題を解決する手段として注目されているのが『電子帳票』です。
電子帳票を導入すれば、請求書や納品書、注文書などをデータで一元管理でき、業務効率化やコスト削減だけでなく、法制度への対応や内部統制の強化にもつながります。
しかし、電子帳票システムには多様な種類があり、導入時の選び方を誤ると「かえって使いづらい」「法対応が不十分」といった問題を引き起こしかねません。
そこで本記事では、電子帳票とは何か、その必要性、導入で失敗しないためのシステム選びのポイントまでをわかりやすく解説します。
電子帳票とは
電子帳票とは、請求書や納品書、注文書、領収書など従来は紙で発行・保存していた帳票を、電子データとして作成から保存する仕組みのことです。法令に基づいた保存要件を満たすことで、紙の帳票と同じ効力を持ちながら、業務効率化やコスト削減、検索性の向上を実現できます。
わかりやすく説明すると、 これまで「紙で発行してファイルにとじて保管していたもの」を、そのままパソコンやクラウド上で扱えるようにしたイメージです。紙のように物理的な保管場所を必要とせず、検索も数秒で行えるため、経理や総務など日常業務の負担を大きく減らすことができます。
さらに、電子データならテレワーク環境でもすぐに共有・承認できる点も大きなメリットです。
なぜ電子帳票にする必要があるのか?
近年、請求書や帳簿を電子データで保存・運用することが標準化されつつあります。その主な理由は次の5つです。
- 働き方改革への対応
- 内部統制の強化
- 経理の業務効率化
- 物理的な紛失リスクを減らす
- ペーパーレス化の促進
電子帳票が普及している背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。テレワークや時短勤務といった働き方改革への対応をはじめ、法令遵守や不正防止を目的とした内部統制の強化、日々の処理量が膨大な経理業務の効率化が大きな理由でしょう。
さらに、紙書類の保管や紛失リスクへの懸念、SDGsや環境配慮を背景にしたペーパーレス化の推進など、社会的要請も電子帳票導入を後押ししています。
働き方改革への対応
働き方改革とは、労働生産性の向上や柔軟な働き方を実現するための取り組みで、テレワークや在宅勤務の普及もその一環です。
紙の帳票は物理的な提出や押印が必要で、在宅勤務では処理が滞りがちになります。作成・回覧・承認・保管のたびに「人の手」がなければならず、時間や場所の制約を受けやすいことから働き方改革への対応も難しくなります。
そこで電子帳票を導入すれば、申請から承認、検索までをオンラインで完結でき、場所に縛られずに業務が進められます。その結果、社員の働きやすさが向上し、企業としても生産性の向上をはかりやすくなります。
内部統制の強化
企業にとって、帳票は日々の取引や運用を裏付ける証憑であり、不正や誤りを防ぐ“証拠”としての役割も担います。
紙ベースでは、改ざん・紛失・押印管理の曖昧さなどが内部統制上の弱点になりやすく、監査対応でも信頼性を問われることがあるため、電子帳票の導入によって「誰がその帳票にアクセス・閲覧・修正できるか」を細かく制御し、不正アクセスやなりすましを抑制します。
誤入力時の修正や削除も、いつ・どのように行われたかを記録しておくことで後から追跡でき、操作の履歴を自動で残すことも可能です。
経理の業務効率化
経理部門は、請求書・領収書の処理、転記、仕訳、照合、保管といった帳票中心の作業が多く、紙ベースの運用だと作業負荷が非常に大きくなりがちです。電子帳票を導入すれば、こうした定型作業をデジタル処理に置き換えられ、作業時間の短縮やヒューマンエラーの削減が可能になります。
手入力や転記ミスが起こりにくくなり、チェック負荷も軽くなる他、定型的な単純作業から解放され、経理担当者が別の付加価値業務にリソースを割けるようにもなるでしょう。
さらに、リアルタイムに帳票データを参照できるようになれば経営判断の材料が早く揃い、タイムリーな意思決定も行いやすくなります。
物理的な紛失リスクを減らす
電子帳票なら、クラウドやサーバー上でデータを安全に保管でき、盗難・紛失の懸念を大幅に軽減できます。さらに、バックアップや冗長化をかけることで、万が一の障害時でも復旧できる体制を整えられます。
紙の帳票は、「紛失」「破損」「災害被害」「劣化」といった物理的リスクを常に抱えています。ファイルの入れ替えミス、キャビネットの鍵の管理不備、火災・水害などで一瞬で消失する可能性もゼロではありません。
電子データで管理しておけば、もし災害や事故で紙書類が失われても復旧可能なため、業務停止のリスクを軽減できます。また、紙保管のためのキャビネット・保管倉庫も不要になり、日々の管理負荷を解消できるでしょう。
ペーパーレス化の促進
ペーパーレス化とは、紙の帳票・書類をできるだけ電子データで取り扱うことをさし、近年では、多くの企業がその流れを取り入れつつあります。紙媒体の印刷・配布・保管・廃棄といった手間を削減し、記録・共有をデジタル化することで、煩雑な紙業務を根本から見直せるからです。
紙の使用量が減ると、印刷代・紙代・保管スペースや郵送コストなどの経費も抑えられます。さらに、電子データならば、前述したシステム同士のデータ連携や検索性の向上、リモートワーク対応などを進めやすく、文書の処理や承認プロセスの効率化も可能になります。
企業によっては、紙の使用量を抑えることで、環境の負荷軽減やサステナビリティへの取り組みをアピールでき、企業のブランド価値向上にも寄与するでしょう。
紙の帳票を電子化する方法
紙の帳票を電子化する(電子帳票にする)には次の2つの方法があります。
| 方法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 書類をPDF化する |
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| 電子帳票システムを導入する |
|
|
それぞれの主な違いと、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。
書類をPDF化する
紙の帳票をスキャナーで読み取る他、ExcelやWordをPDF形式で出力して帳票をPDFファイルに変換すれば、帳票のレイアウト・内容をデジタルデータとして保持できます。
PDFは印刷レイアウトを固定できる形式であり、閲覧環境に依存しにくいため、オリジナル(紙)の見た目を保ちつつ保存できるのが強みです。また、特別なシステムやツールを用立てなくても実行できるため、“すぐに取り掛かれる電子化の方法”になります。
一方でPDF 化によるデメリットは、改ざん防止や証拠力を保証できない点です。単にPDFに変換しただけでは、後から編集可能な状態で残ってしまうおそれがあり、真正性の担保にはタイムスタンプや電子署名、アクセスログ管理といった仕組みを補完する必要があります。
電子帳票システムを導入する
電子帳票システムとは、請求書・見積書・領収書などの帳票を紙ではなく電子データとしてオンラインで作成・配信・保存・管理するシステムです。
電子帳票システムを導入すれば、承認や回覧、検索・参照などをシステム上で完結できるため、帳票の電子化に留まらず業務効率の向上も期待できます。さらに、アクセス制御やログ管理、タイムスタンプなどの機能により、不正防止や監査対応といった内部統制面での強化にもつながります。
ただし、導入コスト(初期導入費・運用費)が発生する他、システム障害やサーバーダウンによる業務の遅延、データの消失リスクがある点には注意が必要です。また、利用者側には新しい操作への学習負荷がかかるため、社内教育や定着させるためのルート作りも必要になります。
帳票を電子化する基本的な流れ
帳票を電子化する基本的な流れは次のとおりです。
- 扱っている帳票を洗い出す
- 電子化する帳票の優先順位と目的を決める
- 電子化する方法を決定する
- 保存・運用ルールを整備する
- ツールやシステムで帳票を電子化する
すべてを一度に電子化するのは難しいため、まず、自社で取り扱っている帳票の種類や量を整理します。申請書、稟議書、請求書、契約書など、どの帳票を対象にするかを絞ります。
「使用頻度が高いもの」「承認フローに時間がかかっているもの」などから優先順位をつけ、目的(コスト削減、効率化、リモート対応など)を明確にしましょう。
対象となる帳票を定めたら、前述したいずれかの方法(スキャンしてPDF化する、電子帳票システムを導入する)でどちらを採用するか検討します。少数の帳票しか扱わない小規模事業者であれば、PDF化+クラウド保存から始めても十分ですが、帳票の量が多い場合は、効率化できる業務の幅が広まるため電子帳票システムの導入がおすすめです。
その際、法令遵守の観点なども含めて「電子化した帳票をどこに保存するか」「アクセス権限をどう設定するか」「保存期間や廃棄ルールをどうするか」といった運用ルールも決める必要があります。
電子帳票におけるデメリットや注意点
電子帳票は、前述したようにあらゆる面で対応の優先度が高い取り組みですが、以下のようなデメリットや注意点もあります。
- 運用ルールの見直しが必要になる
- 紙媒体との併用が必要なケースもある
帳票の電子化を進める際は 運用ルールの見直しが必須になります。紙の運用と比べて扱い方や管理方法が大きく変わるため、そのままのルールでは不整合やトラブルが発生する可能性があるからです。
また、電子帳票化を進める場合でも、完全に紙を排除できるとは限りません。たとえば、契約書や請求書の一部が、法的要件や取引先の希望により紙での発行・保存が必要になるケースがあるなど、書類の種類やクライアントの属性はさまざまでしょう。
このような場合、電子と紙を並行して扱う運用ルールを明確にし、どの帳票が電子保存対象で、どれが紙保存のまま残るのかを整理することが重要になります。
- 契約書は電子契約サービスを導入しつつ、一部の取引先には紙を送付する
- 請求書は電子保存を基本とし、税務署対応のために一定期間は紙も保存する
- 社内申請書は電子化し、外部提出書類だけ紙に印刷する
といった形で、ハイブリッド運用を行うのが現実的な取り組み方です。
電子帳票システムを導入する際のポイント
繰り返しになりますが、電子帳票化を進めるうえでの最適な対応方法は、電子帳票システムの導入です。PDF化などの部分的な電子化でも一定の効果は得られますが、承認フローの自動化や法令対応、検索性の向上などをトータルで実現できるのはシステム導入ならではの強みでしょう。
電子帳票システムを導入する際は、次のポイントをおさえて比較検討します。
- 導入パターン(オンプレミスまたはクラウド)が選べるか
- スマートデバイスにも対応しているか
- 他システムとの連携が可能か
電子帳票システムは、自社の業務スタイルに合った仕組みを選ぶことが重要です。たとえば、社内でサーバーを管理できる企業ならオンプレミス型、柔軟に拠点や在宅勤務に対応したい場合はクラウド型が適しています。
また、現場社員がスマートフォンやタブレットを使える環境なら、それらに対応したシステムを活用することで承認や確認がスピーディになります。さらに、既存の会計ソフトやERPと連携できれば、データ入力や転記の手間を大幅に削減可能です。
導入パターン(オンプレミスまたはクラウド)が選べるか
オンプレミスとは自社サーバーにシステムを構築して運用する形態で、クラウドはベンダーが提供するクラウド環境を利用する形態をさします。
オンプレミスはセキュリティ面で安心感があり、自社に合わせた高度なカスタマイズが可能ですが、初期コストや運用負担が大きくなります。一方でクラウドは、初期費用を抑えられ、インターネット環境があればどこからでも利用できる利便性が魅力です。
選択肢があることで、自社の規模・予算・セキュリティ要件に応じた最適解を選べることがメリットとなります。逆に選べない場合は、自社の方針と合わない運用を強いられる可能性があり、費用対効果が低下したり、業務効率化が十分に進まないといった弊害が生じるリスクがあります。そのため、導入パターンを柔軟に選べるかどうかは、システム選定における大きな判断基準になります。
スマートデバイスにも対応しているか
スマートデバイスに対応した電子帳票システムを導入すれば、外出先や移動中でも承認フローを止めずに進められます。工場・店舗・建設現場など、PCを持ち歩けない環境でもタブレットやスマホで帳票を扱えるため、業務スピードが向上します。
たとえば、営業担当者が出張先の電車移動中にスマホから稟議を承認したり、工場の検査担当がタブレットからチェックリストを入力し、すぐに本社に送信されリアルタイムに状況共有できたりと、業務を止めないための仕組みを構築しやすくなります。
時間や場所や端末が限定されないことで、利用する人にとっても受け入れやすく、「結局紙の方が早い」といった逆戻りを防ぎやすくもなるでしょう。PC前提の仕組みだけでは、紙からの脱却が中途半端に終わりやすいため、スマートデバイスへの対応状況は確認しておくべきポイントです。
他システムとの連携が可能か
電子帳票システムは単独で利用するよりも、会計システムやERP、人事給与システム、ワークフローシステムなどと連携してこそ最大の効果を発揮します。連携できない場合、データの二重入力や情報の断絶が発生し、電子化による効率化が十分に実現できません。そのため、「他システムとスムーズに連携できるかどうか」は、システム選定における重要なポイントとなります。
請求書データが電子帳票システムから会計ソフトに自動連携されることで、担当者が手入力する手間や入力ミスを防止できます。他にも、経費精算の承認が下りたら、そのまま会計システムに仕訳データが登録され、承認後の処理を自動化することも可能です。
他システムとAPI連携できる仕組みがあれば、業務の変化に応じて新しいツールを柔軟に組み込めるため、他のクラウドサービスや基幹システムとの併用による弊害や、DX推進の障害となるリスクも軽減できるでしょう。
『Hi-PerBT ワークフロー』でワークフロー申請帳票を電子化
ワークフロー申請業務の帳票の電子化には、『Hi-PerBT ワークフロー』の活用がおすすめです。
オンプレミス/クラウドの両方に対応しており、企業の規模や運用方針に合わせて柔軟に導入できます。さらに、スマートデバイスからの利用にも対応しているため、出張先や現場からでもスムーズに承認・確認が可能です。
また、会計システムやERPなど他システムとの連携機能も備えており、電子帳票の利便性を最大限に引き出せる仕組みになっています。
オンライン試用環境が無料で利用可能なため、実際の操作感や機能を体験したうえで導入を検討できます。初めて電子帳票システムを導入する企業でも安心して試せるでしょう。
まとめ
帳票の電子化は、働き方改革やテレワークの普及、法制度への対応といった観点からも、企業にとって対応は避けて通れないテーマとなっています。
導入を成功させるためには単なるPDF化にとどまらず、承認フローの効率化を支える「電子帳票システム」の活用が重要です。業務効率化・コスト削減・セキュリティ強化の同時実現をめざして、自社に最適なシステムを比較検討しましょう。

