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稟議申請とは?稟議書の書き方を例文・テンプレートつきでわかりやすく解説
稟議申請をスムーズに!基本の仕組みから、稟議書に盛り込むべき内容や書き方まで、実務に役立つ情報をご紹介します。
- 稟議申請とは
- 稟議申請の基本的なフロー
- 【例文あり】稟議書のテンプレート
- 稟議書の基本構成と書き方
- 「稟議書」と「起案書」の違い
- 「稟議書」と「決裁書」の違い
- 稟議申請のよくある課題
- 『Hi-PerBT ワークフロー』で申請・承認業務を効率化
- まとめ
会社で新しい取り組みや高額な経費を使う際に必要となるのが「稟議申請」です。稟議申請は、担当者だけでは判断できない内容を上司や関係部署に回して承認を得る仕組みであり、組織運営を円滑にするために欠かせないプロセスです。
ところが実際に稟議書を書こうとすると、「どんな内容を盛り込めばいいのか」「形式はどう整えればいいのか」と迷う方も多いのではないでしょうか。
本記事では、稟議申請の基本的な仕組みから、稟議書の具体的な書き方までをわかりやすく解説します。
稟議申請とは
稟議申請とは、 権限を超える判断や支出、契約などを社内で正式に承認してもらうための手続きです。担当者が起案した内容を稟議書という書類にまとめ、関係部署や上司へ回覧して承認を得ることで、組織としての合意を得たうえで実行に移します。
もう少しわかりやすく説明すると、 「私だけの判断では責任が重すぎる」や「権限外なので決められない案件」を、「文書でまわして相談・承認をとる」プロセスと捉えるとイメージしやすいでしょう。
稟議申請の目的
- 誰が決定し、誰が責任を負うのかを文書で可視化する
- 一部の人だけで決めるのではなく、関係者全体に内容を示し合意を取る
- 複数の目で内容を確認することで、誤りや漏れ・過剰な支出を防ぐ
- 稟議書を通じて関係部署に事前に情報を伝え、調整の手戻りを減らす
このように、稟議申請は単なる書類のやり取りではなく、企業・組織における意思決定と統制の要となる制度です。
「稟議」と「申請」の違い
厳密には「稟議」と「申請」は別であり、意味も少し異なります。稟議とは、 個人の判断だけでは決められない提案や案件について関係者の承認を得るための手続きである一方、申請は、日常業務における許可を得るための手続きになります。
通常は申請者から直属の上司または担当者に提出し、その範囲内での判断を仰ぐものをさすため、稟議が「複数段階の承認を含んだプロセス」で、申請は「許可を得る・求める行為」と分けて考えるとよいでしょう。
とはいえ、実務上では「稟議を申請する」という意味合いで使うケースが多いため、一般的には「稟議申請」と一体化した言葉が用いられています。
稟議申請の基本的なフロー
稟議申請の基本的なフローは以下のようになっています。
- 稟議書の起案
- 稟議書の回覧
- 稟議の承認
- 稟議の決裁
稟議申請をスムーズに進めるには、各ステップでのポイントを知っておくことが重要です。起案時は目的・根拠・リスク対応を明確にし、事前の根回しで差し戻しを防ぎましょう。
回覧時は承認ルートを漏れなく組み、進捗管理を怠らないこと。承認段階ではコメント対応や判断基準のすり合わせを丁寧に行います。
1.稟議書の起案
稟議書とは、提案内容・背景・目的・コスト・効果・リスク対策などを一つの文書に整理し、関係者や承認者に説明するための書類です。この稟議書の作成・起案が、稟議申請フローの出発点になります。
起案を始めるタイミングは、案件がある程度確定した段階または企画構想段階です。まず、提案したい内容の趣旨・目的を明確にし、なぜその施策が必要かという背景・課題を整理します。次に、代替案も検討し、そのうえで最適案を選定。コストの見積もりや、できるだけ数字を盛り込んだ効果予測を根拠となる資料としてまとめ、併せて想定されるリスクとその対策まで記載すれば抜け漏れはありません。
稟議書の起案を進める際、事前の根回しを怠らないのもポイントです。承認者あるいは関係部署に軽く共有しておき、懸念点や質問事項を事前に把握しておくと、起案後の差し戻しが減ります。
2.稟議書の回覧
稟議書の回覧とは、起案した内容を承認ルートに沿って順に回し、関係者に確認してもらう工程です。単に文書を回すだけではなく、各承認者が内容をチェックし、必要に応じて修正や補足を求める場合もあります。
承認ルートは会社や組織によって異なるため、紙の回覧の場合は予めルートを確認しておきましょう。また、回覧時の押印漏れや文書の紛失にも注意が必要です。
電子ワークフローの場合は設定された承認ルートを辿れるため、回覧漏れの心配は少ないですが、担当者の確認不足などで停滞するケースもあります。そういったリスクを抑える意味でも、起案者がきちんと「誰がいつ確認中か」の進捗を追わなければいけません。
3.稟議の承認
承認者が回覧された稟議書を読み、提案内容が妥当かどうかを判断します。コスト・効果・リスクなどを確認した結果、問題なければ承認(もしくは条件付き承認)、問題があると判断したら差し戻しを行います。
この段階では、起案時に整理された資料や根拠が大きく影響します。そのため、承認者が疑問を抱く点を先読みして文書に盛り込み、差し戻される可能性を少しでも減らしておくのがポイントです。もし差し戻しが来たら、起案者は速やかに修正案を返して再承認を得ましょう。
また、承認者ごとに判断基準が異なる場合も多いため、事前に承認者と簡単な擦り合わせをしておくと、承認がスムーズに進みやすくなります。
4.稟議の決裁
決裁とは、すべての承認が得られた稟議書を元に、最終決裁者が可否を判断して正式決定を下すことです。稟議申請プロセスの“ゴール”にあたります。
決裁者が稟議書と添付資料を最終確認し、実行可否を判断します。「可」の場合は決裁を行い、稟議書にその旨を記録・署名・押印します。「否」や「修正条件付き」の場合は、その理由を明記して起案者へ差し戻します。
決裁後の判断記録(日時、決裁者名、決裁内容)を必ず保存し、実行段階につなげるための周知も忘れてはいけません。決裁が整って初めて、稟議案件は組織としての正式な決定となります。
【例文あり】稟議書のテンプレート
稟議書を作成したことがない人にとっては、どのような項目を盛り込めば十分か判断が難しいでしょう。稟議書の書き方に迷った際は、以下のテンプレートを上手く活用してください。
【稟議書の例文】
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令和×年×月×日
起案部署:営業部
起案者:山田 太郎
件名:新規見込み顧客向け提案資料作成・展示会出展費用の申請について
1. 背景・目的
現在、当社製品の認知拡大および販路拡大をはかるため、有力見込み顧客を招いた展示会を開催したいと考えています。これに伴い、提案資料作成や展示会ブース設営費用の予算確保が必要です。
2. 提案内容
・展示会会場レンタル料、ブース設営費、印刷・配布資料制作費を含めた出展計画
・併せて、来場者へのデモ・資料説明会実施
3. 費用・見積もり
・会場レンタル料:500,000円
・ブース設営費:300,000円
・印刷・資料制作:200,000円
・その他諸経費(交通・通信):50,000円
合計予算:1,050,000円
(別紙見積書・見本資料を添付)
4. 効果見込み
・来場見込み数:100名
・提案後受注率:10%(売上想定:5,000,000円)
・利益率 20% と見込み
5. リスクと対策
・来場者が少ないリスク → 事前集客を強化(DM・ウェブ広告)
・資料遅延リスク → 予備印刷、スケジュール余裕を確保
6. 実施スケジュール・体制
・資料作成:令和×年×月×日〜×月×日
・会場準備・出展:令和×年×月×日〜×月×日
・担当:営業部・マーケティング部
7. 決裁依頼
この計画につき、上記予算および実施内容の承認をお願いいたします。
承認欄
営業部 部長 ________印
経理部 部長 ________印
取締役 ________印
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稟議書のフォーマットに一律の決まりはないため、会社や用途によって適宜項目を変える必要があります。
稟議書はただ情報を羅列するだけではなく、承認者が「即判断できる状態」で申請することが肝心です。まず、結論を冒頭に明示し、承認してほしい内容を一文で示します。次に、背景・目的・理由を簡潔に説明し、なぜこの提案が必要なのかを納得できるロジックでつなぎます。さらに、コスト・効果・リスク対策を数字や根拠とともに示し、提案の妥当性を裏付けましょう。
稟議書の基本構成と書き方
稟議書を作成する際のポイントは大きく次の4つです。
- 結論を先に書く
- 簡潔かつ見やすくまとめる
- 組織のメリットを前面に出す
- 添付資料を整える
文章が長くなりすぎると承認者の理解を妨げるので、箇条書きや見出しを活用するのもポイントです。作成後は、自分自身を承認者と仮定して読み返し、「承認者ならどこに疑問を持つか」をチェックして、説明を補完しておけば差し戻しされる可能性を抑えやすくなります。
結論を先に書く
稟議書は承認者が忙しい中で確認することが多いため、最初に「何を承認してほしいか(結論)」を明示しておくと、読み手が全体の意図を一瞬で把握できます。結論を後に回すと、提案の趣旨が埋もれてしまい、判断に手間をかけさせてしまいます。
例:
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件名:〇〇システム導入の件
結論:新システム「ABC」を導入する案について、年間契約費用1,200,000円の承認をお願いいたします。
以下、背景・費用・効果・リスクなどを記載します。
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簡潔かつ見やすくまとめる
稟議書が長文かつ冗長だと、承認者の時間を奪い、理解が追いつかず差し戻しの原因にもなります。見やすさ・読みやすさは、承認スピードにも直結する要素のため、必ず簡潔かつ見やすくまとめましょう。
例:
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【背景・課題】
・現在のシステムは保守費が高額で、運用負荷が増加している
・データ処理速度が遅く、月次報告作業に時間がかかる
【提案内容】
・新システム「ABC」を導入
・初期設定および移行作業:3ヶ月程度
【費用】
初期導入費:800,000円
年間保守料:400,000円
【効果】
運用コスト削減:年間200,000円削減見込み
作業時間短縮:月間で30時間減少見込み
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組織のメリットを前面に出す
稟議書は、起案者の都合だけでなく「会社・部署・組織全体にとって得られる利益」が明確であることが、承認を得るうえで強い説得力になります。そのため、利害関係者や決裁者目線での価値を提示する、つまり組織のメリットを前面に出すことで決裁を後押しします。
例:
-------------------------------------------------
【組織におけるメリット】
・コスト削減:現行システム保守費との差額で年間200,000円削減
・業務効率:月次処理時間を月30時間短縮→担当者業務量の軽減
・競争力強化:リアルタイムデータ利用により営業判断が迅速化
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添付資料を整える
稟議書本体だけでは裏付けが弱くなりがちです。承認者が「本当に妥当か」を判断するためには、見積書、仕様書、比較表、過去実績データなどの添付資料も準備しましょう。
例:
- ABC システム見積書(2社比較版)
- 現行システム保守費推移表(過去3年分)
- 業務処理時間比較表(導入前後予測)
- 他社導入事例資料
本文中に「別紙:見積書一式添付」などと明記し、添付資料が何であるかを番号付きで整理しておくと、承認者が参照しやすくなります。
「稟議書」と「起案書」の違い
起案書とは、ある事案やプロジェクトの原案を文書化したものです。提案したい内容・背景・目的・方針・計画案などを整理して記述し、関係者や上司に対して「このように進めたい」という意図を示すための文書です。
起案書は“何をしたいか”を示す段階で、稟議書は“その案に対して組織の合意を取りに行く”段階という違いがあります。
ただし、実際には会社ごとに使い方が混同されており、「起案書=稟議書」として扱うケースも多く見られます。
「稟議書」と「決裁書」の違い
「決裁書」とは、最終決裁者が提案内容に対して可否を判断するための文書です。稟議(回覧・承認)を経た後、その案を実行すべきかどうかを最終的に決める判断を記録するものになります。
そのため、「稟議書」は承認を得るための回覧・検討プロセスを前提とした文書であり、「決裁書」は決裁者による最終判断を記録する文書という点で大きく違います。
稟議申請のよくある課題
稟議申請する際は、以下のようなよくある課題に当たらないように注意しましょう。
- 承認者や関係者が多すぎてフローが複雑化する
- 起案前の相談・根回しに時間がかかる
- 記載項目が細かすぎて起案者の負荷が大きい
- 決裁が下りるまで時間がかかり、業務が滞る
- 紙の書類で非効率なフローをとっている
承認フローが煩雑だと「誰が何をすべきか」が曖昧になり滞留が起こりやすく、稟議を通すまでの時間が長くなる原因になります。
また、関係者が多いことで起案段階での根回し不足や情報不足(記載不備・資料の不備)による差し戻しも頻発しやすくなるなど、承認ルートが最適化されていないケースが少なくありません。
さらに、紙での印刷・回覧が前提だと、物理的な移動や保管などの手間・コストもかかるため、デジタル化が進んでいない環境ではこれが大きな足かせになります。
『Hi-PerBT ワークフロー』で申請・承認業務を効率化
稟議業務を効率化するなら、『Hi-PerBT ワークフロー』がおすすめです。稟議・届出・各種帳票をWeb上で一元管理でき、スマホ・タブレットからも操作可能。クラウド型/オンプレミス型の両方に対応しているので、既存の社内環境に合わせて導入できます。
Excelで使っていた帳票のレイアウトをそのままワークフロー帳票に変換できたり、過去申請のコピー起票機能、入力チェック機能、申請状況の可視化(滞留把握など)といった実務で役立つ機能が揃っています。
さらに、オンライン試用環境(お試し利用) を無料で提供しており、導入前に操作感や機能性を実際に確認できるため安心して導入を判断できるでしょう。
まとめ
稟議申請は、個人の判断を超える事案を組織として合意し、責任を明確にするための大切な仕組みです。書き方はもちろん、運用ルールや仕組みによっても大きく効率が変わるため、とくに紙で承認している場合はデジタルワークフローの活用が推奨されます。
オンラインで稟議書を作成・回覧すれば、承認状況の可視化や進捗管理も容易になり、申請から決裁までをスピーディーに進められます。これからの稟議申請は、紙ではなくデジタルで運用するのが効率化の近道です。

