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生産管理システムとは?
主な機能やメリットを解説

製品の生産に携わる業務をトータルで管理する「生産管理システム」の導入メリットについて、
主要機能や導入後に得られる効果をもとに詳しく解説します。

製造業において、製品の生産に携わる業務をトータルで管理する生産管理システムの導入は極めて重要です。生産性向上や業務効率化をはかりたい企業はもちろん、DX(デジタルトランスフォーメーション)実現のアプローチとしても有効な選択肢となるからです。導入を検討するにあたって、システムに実装されている機能を把握し、どのようなメリットが得られるのかを理解しておく必要があります。

生産管理システムとは?

生産管理システムは、生産に関わる業務を一元管理するためのソリューションです。同システムには、販売管理・生産計画・所要量計算・購買管理・在庫管理・製造管理・出荷管理・原価管理・予算管理といった機能があります。自社の業種・業態や課題に対応したシステムを導入することで、紙やExcelベースの業務を自動化・効率化したり、部署をまたいだデータ連携で利益を最大化する生産計画を立案したりと、さまざまなメリットを得られます。従って、生産性向上や業務効率化をはかりたい企業はもちろん、DXを推進したい企業にとっても、生産管理システムの導入はぜひ前向きに検討していただきたい選択肢のひとつとなるのです。

生産管理システムの主な機能

生産管理システムは、製品の生産に関するさまざまな業務を管理する機能で構成されています。
注文の受注から出荷・請求・売上までをマネジメントする販売管理機能をはじめ、生産計画の立案を支援する生産管理機能や、生産に必要な部品・原材料・資材の調達プロセスをサポートする購買管理機能など、“モノづくり”を効率化する機能を網羅し、部門をまたいだ業務改善を可能とします。
ここからは、生産管理システムにおける9つの主要機能を紹介していきましょう。

生産管理システムにおける9つの主要機能

  • 販売管理機能

    見積りから注文の受注・出荷・請求・売上までを管理するための機能です。
    同一のシステムで受注から売上までの流れを管理することで、受注漏れをはじめとしたヒューマンエラーを軽減できます。また、生産管理機能や在庫管理機能とも密接に連携し、販売量の把握・予測を行うことで余剰在庫を抑えて利益の最大化をはかれるのも特長です。
    自社の業務フローにフィットした販売管理機能を備える販売管理システムを導入すれば、受注数・販売数・在庫数といったデータの共有や、業務効率化によるコストの削減など、さまざまなメリットを得られます。

    販売管理機能
  • 生産計画機能

    生産管理システムの軸となるのが生産計画機能です。
    「どんな製品を」「いつ」「どれだけの数を」「どれくらいの費用をかけて」生産するのかという計画を高い精度で立案できるようになります。たとえば、数カ月〜1年間の生産計画における基本方針となる「大日程計画」から、受注内容に応じて1〜3カ月の製造量や人員シフト、原材料調達などを計画する「中日程計画」、1週間〜1カ月の作業内容や完了日などを定めて、都度確認・見直ししながら計画する「小日程計画」までを効率的に立案可能です。過剰生産や製品不足といった利益を損ねる状態を抑制することができます。加えて、見込み生産計画にも対応し、シフトを含めた人員計画も細かく調整可能となります。

  • 所要量計算機能

    必要な部品・原材料・資材の数量や時期を計算・立案する機能となるのが所要量計算機能です。
    製造業における生産管理手法で用いられるMRP(Material Requirements Planning System:資材所要量計画)に基づいた計算の自動化が可能です。生産計画機能や在庫管理機能、部品構成表(BOM)と組み合わせて部品や原材料・資材の量を計算し、納期に間に合うように計画を立案できます。この機能により、在庫リスクの軽減や資材コストの軽減、業務の効率化などのメリットを享受できます。

  • 購買管理機能

    購買管理機能は、生産活動に必要な部品・原材料・資材についての発注・受入・支払管理といった調達に関わる一連の業務プロセスをサポートします。
    「必要な資材」について「適切なタイミングと価格」で「必要な数量」を「安定的」に調達するための機能が搭載されており、生産管理システムの各機能との連携によって最大限の効果を発揮します。特に生産する製品や時期・数・コストなどを決める生産計画機能との関わりは深く、各機能のデータとシームレスに共有できる生産管理システムは、購買管理を効率化するうえで重要な役割を担っています。

  • 在庫管理機能

    その名が示すとおり、在庫データを確認し適切に管理するための機能です。
    完成品だけでなく、製造途中段階の仕掛品や部品・原材料・資源の在庫も管理が可能です。同機能を用いて適切な在庫管理を行うことで、生産の効率化を実現できます。また、キャッシュフローの正常化や、納期遅れの防止にも貢献し、製造管理機能と連携することで、在庫不足や過剰在庫の抑制にも効果を発揮します。業務製造日や賞味期限といった項目の確認や、入庫・ピッキングといった業務の管理も行えるため、自社の業務フローに対応する在庫管理機能を備えた生産管理システムを選択することが不可欠となります。

    在庫管理機能
  • 製造管理機能

    製品の生産に関わる一連の業務のなかで、実際に製造を行う部分、すなわち“現場の作業工程”を管理するのが製造管理機能です。
    作業指示と実績・作業進捗の照会・作業日報といった機能を実装し、作業進捗・作業実績の“見える化”や情報共有を実現してくれます。製造現場の業務効率化と人的リソースの最適化といった効果が得られ、情報共有によりトラブルや人的ミスに対してもスピーディに修正・対応が可能となります。生産管理システムに搭載されている機能のなかでも、現場の業務改善をサポートする製造管理機能の役割は重要といえるでしょう。

  • 出荷管理機能

    出荷管理機能では、製造工場から出荷されるまでの納期管理、出荷台数などを管理できます。 取引先や顧客からの注文に対して、正しく出荷・納品が行われているかを管理する重要な機能であり、企業としての信用を担保するためにも必要不可欠です。納期遅延や出荷ミスを防ぐための機能が実装されており、受注情報など生産管理システムで管理するデータと連携させることで、複雑な作業が必要な出荷管理業務を効率化できます。現場担当者の負荷軽減にも大きな効果が期待できるので、積極的に活用していきたい機能の1つです。

  • 原価管理機能

    人の手による作業では、どうしても正確性を担保することが難しい製造原価の計算・管理も、生産管理システムの機能を利用してシステム化できます。損益分岐点の分析や各製品における採算性の把握が容易に行えるようになり、製造原価を正しく管理できるようになります。製品・ロットごとの原価計算や、実績原価と標準原価とのリアルタイム比較をはじめ、営業部門においては見積り業務の迅速化・効率化をはかれるなど、さまざまな部門にメリットを生み出す機能となっています。

  • 予算管理機能

    生産管理システムに搭載されている予算管理機能を活用すれば、組織全体や各工場別に最適な予算をスピーディに編成できるようになります。Excelなどを用いた手動の予算管理では業務担当者の負荷が高く、ミスや漏れが発生する危険性もあります。しかし、予算管理機能なら生産管理システムの各機能と連携して計算の自動化が可能です。横断的に予算を管理でき正確なプランが立てられるため、収益拡大への貢献も期待できます。

生産管理システムを導入するメリット

生産に関わる業務を一元管理する生産管理システムには、さまざまな導入効果があります。その効果は、業務の効率化をはじめ、運用・人的コストの削減、受注から納品までのリードタイム短縮、情報共有によるリスクヘッジ、データの可視化、属人化の解消など多岐にわたります。
以下では、生産管理システム導入による6つのメリットについて紹介します。

生産管理システムを導入するメリット

生産管理システム導入による6つのメリット

  • 業務の効率化

    生産管理システムを導入すれば、これまで紙やExcelなどを用いて手作業で行っていた業務の自動化・効率化が可能です。これにより業務担当者の負荷は大幅に軽減され、人的ミスの削減にもつながります。アナログな手作業ではデータの重複や不整合なども起きやすく、在庫状況や原価、作業進捗、作業実績などを正確に把握・管理することがどうしても難しくなります。しかし、システムを導入すれば人的負荷を増やすことなく適正な管理を実現できます。各工程の機能をシームレスに連携することで、複数人・複数部署がリアルタイムに情報を更新しても正しいデータの管理が可能となります。これにより、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期遵守)、いわゆるQCDを最適化できます。製造業においても深刻な問題となっている人手不足への対策という意味でも、業務の効率化は重要な意味を持ち、これだけでも生産管理システムを導入する価値はあるといえます。

  • コスト削減

    生産管理・販売管理・在庫管理といった機能が統合された生産管理システムは、コスト削減においても大きな効果が期待できます。需要・供給・生産の可視化によって、適正な在庫量の把握が可能です。倉庫費用や検品などコストがかさみがちな余剰在庫を抑制できるほか、在庫不足によるビジネス機会の喪失も防ぐことができます。さらに業務効率化による人件費削減はもちろん、生産に関わるシステムを1つに統合した生産管理システムは、企業のIT管理部門にかかる負荷軽減にも一役買ってくれるでしょう。メンテナンスにかかる人的コストも軽減でき、ビジネスの領域にITリソースをつぎ込めるようになるなど、単なるコスト削減に止まらず、収益拡大においても大きな効果が見込めます。

  • リードタイムの短縮

    受注から納品までの期間を指す「リードタイム」は製造業のビジネスにおいて重要な指針となります。収益の最大化をはかるべく、リードタイム短縮に取り組む企業は少なくありません。ここまで解説してきたとおり、生産管理システムは受注から納品までを含む、製品の生産に関わるすべての工程をカバーしているため、リードタイムの短縮にも効果を発揮します。各工程の情報の一元管理によって、問題がある箇所の把握や改善がスピーディに行えるようになり、その結果リードタイムを大幅に短縮することができます。生産性の向上に加えて顧客満足度の向上も実現でき、企業としての価値を高めることにもつながるでしょう。

  • データの見える化でDXを推進

    生産管理システムの導入は、近年のビジネスにおけるトレンドの1つであるDXの実現においても、重要な役割を担っています。生産管理システムの導入によって、生産計画・在庫管理・製造管理・原価管理・予算管理など、生産に関わる工程すべてのデータを集約し、高精度でリアルタイムな情報共有を行うことでデータの“見える化”を実現できます。集約したデータから自社の現状を分析すれば、より正確かつ効率的な生産計画の立案が可能となり、適切な経営判断も迅速に行えるようになります。さらに生産プロセスの可視化は、最適な生産体制構築によるコスト削減をはじめ、生産ライン上で問題が発生した際の早期検知にも役立つため、品質管理の向上にもつながります。

    データの見える化でDXを推進

    このようにデータの見える化によるDXの推進は、生産性や品質管理の向上に直結するため、企業の競争力の維持・向上に大きく寄与します。DXを推進したいという企業にとって、生産管理システムの導入は有効な一手といえるでしょう。

  • 情報共有の加速とリスクヘッジ

    稼働状況や在庫、設備の状態なども含めて、リアルタイムな情報共有を行うことで、生産性の向上だけでなく、組織全体の強靱化をはかれるなど数々のメリットが得られます。さらに生産管理システムによるデータの一元管理は、問題点や改善点の早期発見にも効果を発揮します。問題が大きくなる前に対策を講じられるため、リスクヘッジの観点でも非常に有効です。情報共有をフックに品質改善を継続していけば、顧客の満足度向上にもつながるはずです。

  • 属人化の解消

    原価管理をはじめ、これまで手動で行っていた生産管理業務では、特定の業務担当者の経験に頼る“属人化”が進んでいるケースも少なくありません。機能解説のパートでも述べたように、生産管理システムを導入すれば紙やExcelベースで行っていた業務の自動化・効率化が可能となり、担当者に依存することなくヒューマンエラーの解消がはかれます。また、業務をまたいだシームレスな情報共有は、ベテラン担当者のスキル継承という意味においても効果を発揮します。情報共有による現場コミュニケーションの活性化で、技術の継承が容易となり、属人化の解消が期待できます。使いやすくメンテナンス性に優れた生産管理システムを導入すれば、現場業務とシステム管理業務を標準化でき、属人化の抑制・解消を実現できるでしょう。

生産管理システムを導入するまでの流れ

生産管理システムの導入を検討するにあたっては、まず利用できる機能や得られるメリットを確認します。それを踏まえて導入の目的を明確化し、自社の業務を棚卸しして解決すべき課題を洗い出していく必要があります。目的の明確化と課題の抽出が完了したら、経営層や現場のキーマンをアサインして全社的なプロジェクトとして生産管理システムの選定に着手していきましょう。

ここで重要なのは、たくさんあるパッケージの中から自社の業種にマッチするものを選ぶことです。目的を実現できるか、現状の課題を解決する機能を備えているか、使いやすいインターフェースか、企業の成長に合わせエンハンスやカスタマイズが可能かなどをチェックして最適な生産管理システムを選定しましょう。導入後も継続的にユーザーの声を拾って、新たに顕在化してきた課題を解決することが大切です。さらに定期的な効果測定と改善を続けていけば、収益の拡大をはじめ、さまざまなメリットを享受できるはずです。

日立ソリューションズ西日本 製品担当者からコメント

日立ソリューションズ西日本 製品担当者アイコン

原材料コストやエネルギーコストの高騰は、昨今の大きな問題となっています。
従来の価格でどこまで持ちこたえられるのか、製品価格に転嫁するならばいったいどれだけ値上げすればよいのか、経営状況をタイムリーに把握し、適切な対応を迅速に行うことが求められます。
そのような中で、原価や在庫、製造工程を適切に把握し管理することが大切となります。
生産管理システムは原材料費や歩留まり率、人員、設備能力や稼働率など製造に関わるさまざまな指標を正確に把握し適切に管理ができるため、会社の利益改善に非常に重要なシステムとなります。

日立ソリューションズ西日本
「Factory-ONE 電脳工場MF」の機能紹介

生産管理システムの導入に際してぜひご検討いただきたいのが、日立ソリューションズ西日本が提供するパッケージ型の生産管理システム「Factory-ONE 電脳工場MF(以下、電脳工場)」です。「電脳工場」は、生産計画の立案から受注・出荷・手配計画・受入・在庫・負荷・進捗・原価に至るまで、モノづくりの生産に関するあらゆる情報を総合的に管理し、工場経営を強力に支援してくれるソリューションです。また、請求・売掛・入金、仕入・買掛・支払といった販売管理機能も標準搭載した生販一体型のシステムであることも大きな特長のひとつです。製造業を中心に1,700を超える豊富な導入実績を誇っており、直観的なインターフェースや、拡張性の高さなどが多くのお客さまに評価されています。

日立ソリューションズ西日本 製品担当者からのオススメ!

日立ソリューションズ西日本 製品担当者アイコン

「電脳工場」は「製番管理版」・「MRP版」・「ハイブリッド版」・「販売管理版」の4つのラインアップで幅広い業種・業態をカバーできます。
また、わかりやすく使いやすいユーザーインターフェース、照会画面から入力画面へのハブ機能など能動的なオペレーションが実現できます。
「電脳工場」と日立ソリューションズ西日本がこれまでに製造業(組立・量産)のシステム構築を通じて培ったノウハウを実装したテンプレートを組合せることで、パッケージの業務適合率が高くなり、短期間・高品質・低コストで導入することができます。

利用可能な機能と得られるメリットを理解すれば、 効果的に活用できる

生産管理システムを効果的に活用できれば、業務の効率化やコストの削減、データドリブンな経営や属人化の解消など多様なメリットが得られます。生産管理システムに搭載されている各管理機能の役割を把握し、自社の環境に必要な機能を備えたシステムを選定することが大切です。