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業務DXがもたらすメリットと取り組み事例|推進できない企業の課題から解決策まで解説

DXで業務を変革!効率化だけでなく生産性向上や働き方改革を実現するために、メリット・事例・課題解決のポイントをわかりやすくご紹介します。

近年、あらゆる業界で「業務DX(デジタルトランスフォーメーション)」が注目されています。業務のデジタル化は単なる効率化にとどまらず、生産性向上、コスト削減、働き方改革、さらには新たな価値創出につながる取り組みです。

しかし現実には、多くの企業がDXの必要性を理解しながらも「どこから手を付ければよいのか分からない」「現場が変化に対応できない」といった壁に直面しています。

本記事では、業務DXがもたらす具体的なメリットや実際の取り組み事例を紹介するとともに、推進が進まない企業に共通する課題とその解決策までをわかりやすく解説します。

業務DXとは

業務DXとは、企業がデジタル技術を活用して業務プロセスを根本から変革し、生産性の向上や新たな価値創出につなげる取り組みのことです。単なるシステム導入やIT化にとどまらず、業務フローや組織のあり方そのものを見直し、デジタルを軸に再設計することを意味します。

わかりやすく説明すると、業務DXは「紙の書類をデータ化して効率化する」といった部分的な改善ではなく、デジタルを活用して働き方や意思決定の仕組みを変え、企業の競争力を高める取り組みということです。

つまり、DXは「業務効率化」だけを目的としたものではなく、新しい働き方を実現し、顧客や社会に新しい価値を届けるための変革という広い意味を持っています。

業務DXを実現したワークフローシステムの活用事例

活用事例のPDFイメージ

業務DXを実現したワークフローシステムのさまざまな活用事例をご紹介しているPDF資料です。御社の業務DX推進のヒントにお役立てください。

1.「労働基準法改正による働き方の見直しを実現」
2.「業務システムとの自動連携による申請業務の効率化を実現」
3.「紙からデジタルへの変換『DX』実現」
上記のような事例をご紹介しています。

業務のDX化が求められる背景

近年、あらゆる業界において業務のDX化が強く求められています。その背景は大きく分けて2つあります。

人材不足の加速
顧客や市場の変化

人材不足とそれに伴う働き方改革への対応は、少子高齢化や労働力の減少により、一人ひとりの生産性を高めることが不可欠な日本社会において急務でしょう。

また、年々激しく変化する市場ニーズと新しいビジネスモデルの登場に対応するには、従来の仕組みを改善するだけでは足りず、デジタル技術を活用した改革・改善が必要です。

人材不足の加速

人材不足は多くの企業にとって避けて通れない課題となっており、その影響は経営から現場レベルまで幅広く及んでいます。労働力人口の減少、高齢化、転職・離職率の上昇などの社会構造の変化が重なり、企業は「人を増やす」だけでは対応しきれない局面に直面しています。

特にコロナ禍以降、業務の非対面化・リモート化といった働き方の変化も追い打ちをかけ、あらゆる業界で「人手が足りない」「人が定着しない」という声が聞かれるようになりました。

たとえば厚生労働省の「令和6年版 労働経済の分析」では、人手不足が日本全体における継続的な構造問題であることが指摘されています。

産業別にみた雇用人員判断D.I.の推移イメージ

特にサービス業や小売、介護、飲食、運送といった業界では求人倍率が高止まりしており、求職者が不足しているという実態が見られます。こうした統計データは、業界・企業を問わず人手不足が現実のプレッシャーであることを証明しています。

こうした背景を踏まえると、企業が業務のDX化に取り組むべき理由は明確でしょう。DXを通じて業務プロセスを自動化・効率化すれば、限られた人的リソースをより価値の高い業務にシフトできるためです。

たとえば、定型的な承認手続きや帳票処理をシステム化すれば、承認者の負荷を減らし、申請から決裁のスピードを上げることが可能です。これにより、今まで人手をかけていた業務を削減・省力化でき、結果的に少ない人数でも同等以上の成果を維持することができます。

顧客や市場の変化

時代の流れとともに顧客ニーズは確実に変化しています。かつては「大量生産・大量消費」で一定品質の商品を安く提供することが求められましたが、現在では「自分に合ったサービス」「即時対応」「オンラインでの利便性」など、よりパーソナライズされた価値が重視されています。

たとえば、小売業では店舗販売中心からECやモバイルアプリでの購買へ、金融業では窓口取引からオンラインバンキングやキャッシュレス決済へとシフトしており、市場そのものが顧客の生活様式や期待値に合わせて変化しているのです。

こうした顧客・市場の変化に対応するためには、業務のDX化が不可欠です。デジタル技術を活用して顧客データを蓄積・分析すれば、個々の顧客に合わせた提案やスピーディな対応が可能になります。また、オンラインチャネルやモバイル環境と連携することで、従来の仕組みでは提供できなかった新しい顧客体験を創出できます。

さらに、市場の動向をデータから把握し、迅速に意思決定できるようになることで、変化の激しい競争環境でも柔軟に戦略を切り替えられるようになるでしょう。

つまり、顧客や市場の変化に後れを取らず、持続的に競争力を維持・強化していくためには、DXを通じて業務を根本から見直し、顧客中心の仕組みに変革していくことが欠かせないのです。

業務のDX化によって実現すること

業態や企業ごとの課題によって異なるものの、業務のDX化によって実現するのは主に次の4つです。

人材リソースの最適化
業務効率と生産性の向上
迅速な意思決定
新たな顧客体験の創造

業務のDX化は、単なる効率化にとどまらず、企業の組織力・競争力そのものを高める取り組みです。DX化がもたらす変化とメリットをそれぞれ詳しく解説していきます。

人材リソースの最適化

業務のDX化によって、定型的な作業や単純な事務処理を自動化できるため、人材をより付加価値の高い業務へ振り分けられます。承認や入力業務をシステムが処理することで、社員は顧客対応や企画立案など戦略的な仕事に時間を割けるようになるでしょう。

本来クリエイティブや戦略的な仕事に人材を活用したいのに、経費精算や承認作業などの定型業務に多くの時間を割かざるを得ず、結果として「人手が足りない」という課題が慢性化するケースは少なくありません。そうなると、採用や残業で補うしかなくなります。

定型業務はシステムやRPAが自動処理するなど分担できれば、人間は顧客対応など高付加価値業務に集中できるようになります。それによって、限られた人数でも成果を最大化でき、人材不足の影響を最小化できます。

業務効率と生産性の向上

DX化により、紙やメールに依存した非効率な業務フローをデジタル化でき、情報の入力・共有・承認が一元管理されます。その結果、作業の重複やヒューマンエラーが減り、業務スピードが飛躍的に高まります。

たとえば、経費精算をオンライン化すれば、承認の遅延が解消され、数日かかっていた処理が数時間で完了します。紙やExcelでの処理に依存し、入力ミスや承認遅れが頻発することもなくなるでしょう。部署間で同じ情報を何度も入力する「二重入力」が常態化してしまうと、どうしても処理スピードは遅くなります。

業務のDX化で社員一人ひとりの生産性を高められれば、結果的にコスト削減や利益率の向上を実現しやすくなります。

迅速な意思決定

最新データを収集・集計するのに時間がかかると、経営判断が常に「一歩遅れ」になりがちです。たとえば販売数や在庫数の集計に数日を要しているうちに、機会損失や在庫過多を招く可能性は高まっていきます。

DX化によってデータがリアルタイムで収集・可視化されれば、経営層や管理職は最新の情報に基づいた判断をスピーディーに下せます。売上データや在庫状況を即時に確認できれば、市場の変化に合わせた迅速な価格設定や在庫調整も可能になるでしょう。

意思決定にかかる時間が短縮されれば、競合に先んじた対応や市場機会の的確な把握もしやすくなります。迅速さが競争力そのものとなる時代において、スピーディーな意思決定の実現はあらゆる業界・業種で求められます。

新たな顧客体験の創造

業務のDX化は、顧客との接点においても新しい価値を提供します。顧客データをもとにパーソナライズした提案を行ったり、オンラインチャネルを通じて即時対応したりと、オフラインでは難しかった「顧客一人ひとりに合わせたサービスの提供」を実現できるようになるのです。

たとえばECサイトでは、購入履歴に基づいたレコメンドやチャットボットによる24時間対応によって、顧客に「便利で心地よいユーザー体験」を提供できます。一方で、電話や対面が中心の顧客対応では、対応可能な時間や場所が制限されるだけではなく、顧客データが分散しているため一人ひとりに合った提案ができず「画一的なサービス」に留まりがちです。

より良い「購買体験」が重視される現在において、新たな価値の創造は「ブランド」や「顧客ロイヤルティ」の向上につながるため、長期的な事業を展開するうえでは避けては通れないでしょう。

業務DXを実現したワークフローシステムの活用事例

活用事例のPDFイメージ

業務DXを実現したワークフローシステムのさまざまな活用事例をご紹介しているPDF資料です。御社の業務DX推進のヒントにお役立てください。

1.「労働基準法改正による働き方の見直しを実現」
2.「業務システムとの自動連携による申請業務の効率化を実現」
3.「紙からデジタルへの変換『DX』実現」
上記のような事例をご紹介しています。

業務のDX化が進まない企業の課題

「DXの必要性を理解しているが、思うように進められていない企業」 は非常に多いです。経済産業省が示した「2025年の崖(新規ウィンドウで開く)」問題でも触れられているように、多くの企業が既存システムの老朽化や人材不足、ノウハウの欠如によってDXを十分に推進できていない現状が指摘されています。

「DXに取り組んでいる」という企業は増えているものの、その大半が部分的なIT化にとどまっているケースが多く、本来の意味での業務変革には至っていないのが現状です。

業務のDX化が進まない企業の課題

DXに関するノウハウがない
DX人材を確保できない
DX化する目的が曖昧

多くの企業がDXの必要性を認識しながらも、実際に推進できない背景にはこれらの課題が共通して存在しています。

DXに関するノウハウがない

多くの企業では、ITシステムの導入経験はあっても、業務そのものを変革するためのDXに関する知見が不足しています。特に中小企業では専門部署や専任担当者がいないことが多く、「どの業務からDX化すべきか」「何を優先すべきか」が判断できずに足踏みしてしまいます。

ノウハウがないと、導入効果を正しく想定できず、部分的なシステム導入にとどまって本来の目的である業務改革に結びつきません。

これを解決するためには、外部コンサルタントやベンダーの支援を活用し、社内に知識を蓄積していくことが有効です。また、小規模なプロジェクトからDXを試行し、成功体験を積み重ねて社内の理解を広げることも大切です。

DX人材を確保できない

DXを推進するには、データ分析、システム開発、業務設計などを理解した人材、いわゆる「DX人材」が必要です。しかし、多くの企業ではIT部門が不足しているほか、採用競争が激化しており、必要なスキルを持った人材を確保できません。

DX人材がいないと、新しい仕組みを導入しても運用や改善ができず、結局活用されないまま形骸化してしまいます。かといって、既存の社員をIT人材として教育・配置換えするのは、なかなか現実的ではないでしょう。

既存社員にリスキリング(再教育)を行い、段階的に社内にDX人材を育成することが効果的ですが、目先の短期間な業務に集中したいばかりに、それらの取り組みを本格的に実行できないケースが多いです。

DX化する目的が曖昧

多くの企業では「とにかくDXをやらなければならない」というプレッシャーのもとで進めるため、目的やゴールが曖昧になりがちです。その結果、システム導入が目的化し、「導入したけれど業務効率が上がらない」「社員に浸透しない」といった問題が発生します。

目的が曖昧だと、投資判断や優先順位がつけられず、社内の協力も得にくくなるでしょう。そのため、「何のためにDX化するのか」を明確に定義し、「人材不足を補う」「顧客対応をスピード化する」といった具体的な課題解決と結びつける必要があります。

さらに、その目的を経営層から現場まで共有することで、全社一体となってDXを推進できる環境を整えられます。トップダウンで推し進めようとしても、システムに関わる現場の意見が反映されないと頓挫しやすいため、それを使う人間にとっての環境整備はマストといえます。

業務のDX化を推進するためのポイント

業務のDX化を推進するためには、次の3つのポイントをおさえておくことが重要です。

優先度の高い一部の業務から取り組む
中〜長期的な計画を立てる
現場の担当者も含めてチームを編成する

優先度の高い一部の業務から取り組む

業務DXは全体を一度に変えようとするとコストやリスクが大きく、現場の混乱を招きやすいため、まずは優先度の高い一部業務から取り組むのが効果的です。

たとえば、「経費精算」「勤怠管理」「契約承認」など、処理件数が多くミスが起きやすい業務から始めれば、成果を短期間で実感しやすく、社内の理解や協力も得やすくなります。

逆にこれを行わず全体最適をいきなり狙うと、システム導入が長期化・複雑化し、結果的に「DXが頓挫する」リスクにつながります。

はじめは「影響範囲は限定的だが効果が大きい業務」を選び、小さな成功事例を積み重ねることに重点をおきましょう。

中〜長期的な計画を立てる

DXは一度導入して終わりではなく、継続的な改善と定着が必要です。そのため、中期的には「どの業務をいつDX化するか」、長期的には「DXを通じてどう企業を変えていくか」というロードマップを描くことが欠かせません。

中〜長期の計画がないと、場当たり的なシステム導入に終始し、全体最適につながらないまま投資対効果が薄れてしまいます。

まずはバックオフィス業務の効率化を2年で進め、その後は顧客接点の高度化へ移行するといったステップを踏めば、組織全体に無理なくDXを浸透させられます。計画の際は「短期成果」と「長期ビジョン」の両立を意識するのがポイントです。

現場の担当者も含めてチームを編成する

業務のDX化を経営層やIT部門だけで進めると、現場の実態と乖離し、結果的にシステムが使われなくなるリスクがあります。そうした状況を招かないためには、実際に業務を担う現場担当者を巻き込み、プロジェクトチームとして推進することが重要です。

現場の声を反映して「使いやすさ」と「実効性」の高い仕組みを構築できれば、導入後の定着率も高まります。逆に、経営層の意向ばかりで現場を置き去りにすると、「システムが複雑で使えない」「余計に作業が増えた」といった不満が生じ、せっかくのDXが逆効果になる恐れがあります。

たとえば、経費精算システムを導入する際は、実際に日常的に申請・承認する社員や上司を巻き込んで要件定義を行うと、導入後もスムーズに活用されやすくなります。

業務DXを実現したワークフローシステムの活用事例

活用事例のPDFイメージ

業務DXを実現したワークフローシステムのさまざまな活用事例をご紹介しているPDF資料です。御社の業務DX推進のヒントにお役立てください。

1.「労働基準法改正による働き方の見直しを実現」
2.「業務システムとの自動連携による申請業務の効率化を実現」
3.「紙からデジタルへの変換『DX』実現」
上記のような事例をご紹介しています。

業務DX化の成功事例:ワークフローシステムの導入

全国に拠点を持つJNC様では、水俣本部の稟議や購買申請などが紙・印鑑ベースで行われ、回覧ルートが最大15段階に及ぶこともありました。また、出張や社内便のタイミングで決裁が滞り、1件完了まで1〜2週間かかることもありました。紛失リスクもあり、内部統制上も大きな課題となっていました。

そこで「Hi-PerBT ワークフロー」をご採用いただき、わずか2か月で80種類の帳票を整備、稼働開始となりました。導入後、申請処理は最短で即日完了に短縮され、業務効率が大幅に改善されました。

現在はグループ全社員2,900名、協力会社を含め約4,000名が利用する大規模ワークフローとして、国内外からのアクセスにも対応し、スピーディな意思決定を支えています。

関連記事:JNC株式会社様「高いユーザビリティによってスムーズな導入を実現し、業務効率を大幅に改善!」

『Hi-PerBT ワークフロー』で業務のDX化を実現

業務のDX化を本格的に進めたい企業に最適なのが、日立ソリューションズ西日本が提供する『Hi-PerBT ワークフロー』です。煩雑になりがちな申請・承認業務をシステム上で一元管理し、承認ルートの柔軟な設定、進捗の可視化、代理承認など、DX推進に欠かせない機能を標準で備えています。

「担当者が不在で承認が進まない」「どこで止まっているのか分からない」といった典型的な課題を解決し、業務スピードと透明性を大幅に改善。さらに、モバイル対応や既存システムとの連携にも優れており、リモートワークや多拠点業務でも円滑に利用できます。

また、導入を検討している企業に向けて「無料のオンライン試用環境」を提供。実際の操作感や自社業務との相性を体験してから安心して導入を判断できます。まずは試してみて、自社に合うDX化の第一歩を体感してみてはいかがでしょうか。

まとめ

DXは単なる業務効率化にとどまらず、人材リソースの最適化や迅速な意思決定、新たな顧客体験の創出といった、企業の競争力強化に直結する取り組みです。

一方で、ノウハウ不足や人材不足、目的の曖昧さといった課題によって足踏みしている企業も少なくありません。しかし、優先度の高い業務から段階的に取り組み、中長期的な計画を立て、現場を巻き込んで進めることで、確実に成果を積み重ねることは可能です。

変化の激しい市場や深刻化する人材不足のなかで、業務DXは「やるべきこと」ではなく「やらなければならないこと」です。自社の課題に即した形でDXを推進し、持続的な成長を実現していきましょう。